京都の安井金比羅宮へ縁を結ぶつもりで行ったら2日で縁が切れた話。

1月2日にデパートの初売りに行ってきました。

 混雑必至でもみくちゃになるのはわかっているのですが、普段は虫も殺せなさそうな女の子達が声を枯らしながら客を呼び込む商魂のたくましさが実にニッポンらしいなと思って私は好きなのです。

 目当てのショップは4階にあり、ぼんやりとエスカレーターに乗って昇った先に見つけたのは大幅値下げの札でも流行りのコートでもありませんでした。

 彼女と思しき女性と手を繋いだ、一方的に好きだった片想い4年目の彼でした。

 あまりに唐突でしたので見つけた時の衝撃は凄まじかったのですが、不思議なもので思った程のショックはなかったのです。なぜならすぐさま頭に浮かんだのは、長かった片想い期間の中にある薄っぺらい思い出達ではなく、「そっちかい!」と裏手でツッコむ自分の姿だったからでした。

 何がどっちかと言うと、私は12月31日の大晦日に良縁を結ぶため、縁切り神社で有名な京都の安井金比羅宮へお参りに行っていたのです。そうです。悪縁を切り、良縁を「結ぶため」です。

 そろそろ年齢的にも結んでもらわなければなりますまいと、底冷えする真冬の古都で、人間の業をそのまま象ったようなお札まみれの石穴を潜ってきたわけです。「縁みくじ」というそれらしいおみくじも引いてきました。運良く大吉でしたし、ご縁がある方との悪縁度は0%でした。その時の私は根拠のない手応えを感じていました。殆ど何らかのペアで訪れている参拝者のなか、一人でやり切った!というどうでもいい自負から来ていたかもしれません。まったくご苦労様です。

 運がいいのか悪いのか彼は私の存在に気づきませんでした。縁みくじにあった「悪縁度」はどちらかというとそもそもの「ご縁度」のことなんじゃないかとすら思いました。家に帰って見返したほどです。持ち帰り大切にするようにと書かれたおみくじは、やはり潔いほどの大吉でした。まことに天晴れです。

 これから安井金比羅宮へ縁結び目的で行かれる方は、それなりの覚悟を持って訪れることをお勧めいたします。あちらの神様は大変仕事が早いです。社会人12年目の私はそのスピード感にちょっぴりジェラシーを覚えながら明日の仕事始めを迎えたいと思います。