10年ぶりに試験勉強をしたら一番苦手だった分野の病気になったようで。

 去年の7月頃、わたしは会社でとある資格が必要になり上司から早急に取得するように命じられました。それは合格率6割程度の微妙な難易度の資格で、勉強すれば受かるけれど、しなければ確実に落ちるような内容でした。しぶしぶ受け取った参考書は3冊もあり、とても読む気がせず毎日枕の下に敷いて寝たら勝手に入ってこないかなぁ…なんて思いながら堂々と放置していました。しかし1週間後、なんとなく部下の不精感を感じ取った上司はわたしの予定など聞きもせず、勝手に試験日を決めて、3ヶ月後の受験を再命令して去って行きました。
 

 試験には人体に関する分野があり、赤血球だとか脳だとかそういった設問が出題されます。昔から生物がやたらと得意だったわたしはあまり苦労せず勉強が進んでいたのですが、一つどうしても苦手な腎機能の問題がありました。問題集を解いていても解答率がなかなか上がらず大変苦労しました。Youtubeで図解の動画を見たり実際に絵で描いてみたり…。他の問題も含めてなんとか覚えてきっちり3ヶ月後になんとか合格することができました。
 

 試験勉強を放置していたわたしですが、もう一つ健康診断の再検診も放置していました。約300人いる社員の中で唯一再検診をサボっていたわたしは、業を煮やした総務さんから来週中に必ず行くようにとまたしても勝手に予定を決められ、不貞腐れながら病院へ行ったのです。
 

 どうせ大したことないだろうとタカをくくっていたわたしの結果は、予想外に散々でした。しかも近日中に入院が必要なほど腎機能が低下していたのです。なんの因果かあの勉強で詰まりまくっていた腎臓でした。普通病気を告知されたら分からないことだらけで不安な心持ちで話を聞くのだろうと思います。けれどわたしは勉強したことを非常に丁寧にわかりやすく再解説されている気分で、質問すら一つもありませんでした。むしろこんなこと本当にあるのだな…と他人事にすら思っていました。
 一緒に話を聞いていた母は少し落ち込みながら「がんばろうね」と言ってくれましたが、つい能天気癖から「どうせ病気になるんなら、受ける前だったらここ勉強しなくてよかったのになぁ」と発してしまい、帰りの道中、母親からこてんぱんに叱られたのはいい思い出です。